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2024.12.25日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
子どもたちの学びを長期的に記録し、効果的な教育投資につなげる
井上敦
情報処理技術が進歩するなか、子どもの創造性を育む教育投資の重要性が増しています。創造性の育成を1つの目的として導入された「総合的な学習の時間」は、導入当初より授業時数が減少しましたが、限られた時間の中でも、教科学習に創造性を育む要素を組み込むカリキュラムマネジメントや、教員の質の向上により、創造性を育むことは可能です。喫緊の課題は、効果的な教育投資戦略を策定・実行するために必要な、子どもたちの学びを長期的に記録する教育データベースを整備することです。
FEATURE
教育投資、長期的な教育データベース、創造性
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2024.11.22日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
「年収の壁」を越え、抜本的改革の議論を始めよう
神田玲子
「年収の壁」の問題は、制度の公平性そのものを反映しています。この問題を解消するには、税と社会保険料の負担、そして給付を統合した全体像を踏まえた議論が必要です。海外との比較から明らかな日本の特徴は、低所得世帯への給付の少なさです。その対応としては、税と社会保険料に給付を組み合わせる制度の導入が効果的です。今後の政策論議では、合意形成のプロセスを明らかにすることが、公正な制度を構築するための大きな牽引力になります。
FEATURE
年収の壁、公平性、給付付き税額控除
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2024.09.20日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
企業情報開示体系を再デザインし、持続的な価値向上へ
鈴木日菜子
企業価値向上のため企業と投資家の建設的な対話を促進すべく、経産省は企業情報の新たな法定開示体系案を公表しました。経営戦略と財務情報を一気通貫して開示する構想ですが、財務・非財務情報の一貫性や法定開示と任意開示の役割の調和、実務の負担軽減への影響が課題となっています。企業の理念やビジョンを投資家に示し、企業と投資家をつなぐ有益なハブとなるよう、既存ルールや法制度を含めた新たな開示体系の模索が求められます。
FEATURE
企業情報開示、経営戦略、コーポレート・ガバナンス
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2024.08.30日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
日本のキャッシュレス決済への移行:アメリカとの比較
Jonathan Webb
本稿では、日本とアメリカのキャッシュレス決済への移行の経緯を比較し、両国における決済方法の歴史、日本の最近の変化、日本の移行が遅れた理由、そして残された課題を検討します。日本は過去5年間で、キャッシュレス決済の割合を51%から70%以上に急増させ、アメリカに追いつきつつあります。この変化の主な要因には、クレジットカードとモバイル決済の利用増加、若年層と低所得層での普及、そして飲食や食料品購入におけるキャッシュレス決済の浸透があります。
FEATURE
キャッシュレス決済、決済手段の変化、日米比較
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2024.04.30日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
賃上げを伴うリスキリングの実現へ、価値観を変革できるか
関島梢恵
成長分野への労働移動を促すことが日本経済の課題となっています。そのためには、リスキリングを推進することが重要だといわれます。労働者の中で、賃上げを伴うリスキリングや転職に前向きな人は少なくありません。しかし、主体的にリスキリングを行っている人は限られるのが現状です。背後には、学びと仕事の関連性が弱く、キャリア自律が低いといった日本の問題があります。個人の意識を変革し、リスキリングで収入が増加するという期待を持てるような環境にしていく必要があります。
FEATURE
リスキリング、賃金上昇、労働移動
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2024.03.29日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
脱炭素社会に向けて、グリーンスキルへの投資戦略を打ち立てよ
井上敦
世界中で異常気象が相次ぐ中、脱炭素社会への移行は、人類にとって待ったなしの課題です。その実現には、環境に配慮した経済活動を支える「グリーンスキル」を有した労働力が欠かせません。しかし、その供給不足が問題となっています。グリーンスキルを明らかにし、教育投資を促すことは、環境と経済の好循環を実現する上でも、脱炭素化により影響を受ける人々がその恩恵を受ける「公正な移行」を実現する上でも、必要不可欠です。
FEATURE
グリーンスキル、脱炭素社会、教育投資
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2024.01.25日本経済と持続可能な成長
研究員インサイト
全国的な広まりを見せるコード決済
関島梢恵
近年のキャッシュレス化で台頭しているコード決済等は、その普及に地域差があるのでしょうか。本記事では、NIRA総研で実施した「キャッシュレス決済実態調査」のデータを用い、2018年と2023年における地域別のコード決済等の決済額比率を分析した結果を報告します。
FEATURE
キャッシュレス、コード決済、地域間比較
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2023.12.14日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
事業成長担保権に実効性を持たせる
鈴木壮介
世界的な新型コロナウイルス感染症の感染爆発は収束し、平時に戻りつつあります。NIRA総研の調査によると、コロナ禍の政策決定について、人々の期待は国よりも自治体のほうが高いようでした。その一方で、日常で地域における意思決定にはどの程度の関心が持たれているのでしょうか。コロナ後においても、変動の激しい社会の足腰を強めていくために、地方政治や議会に対する関心を醸成することが必要です。
FEATURE
スタートアップ、事業成長担保権
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2023.12.05日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
「異次元の少子化対策」、日本の人口問題に立ち向かうための必要な要素とは
Jonathan Webb
2023年、岸田政権が「異次元の少子化対策」と「こども未来戦略方針」を打ち出し、日本の少子化を食い止めるラストチャンスだと宣言しました。少子化対策の予算を倍増する政府の提案が議論される中、本稿では少子高齢化問題を巡る、税制と社会保険の問題と見直し、婚姻率低下の影響等、多角的な課題と対策について検討します。
FEATURE
少子化対策、税制改正、日本の未来
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2023.07.25日本経済と持続可能な成長
政策提言ハイライト
起業家精神を培う環境と社会の構築
羽木千晴
近年、東京のスタートアップ・エコシステムの順位は下降傾向にあります。その一因は、日本全体で、起業マインドを持った人材が不足していることです。この課題に対処するためには、学校での起業家教育を年代に応じた方法で充実させる必要があります。また、子どもたちが、ミスや失敗に対してプレッシャーを感じずに発言や挑戦ができる環境を整えることも重要となります。
FEATURE
スタートアップ・エコシステム、起業家精神を培う教育、挑戦を促す環境