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2025.08.22日本経済と持続可能な成長
戦後の成功と病理 構造転換の時は今
戦後80年。日本は平和国家としての地位と経済大国としての繁栄を築きました。しかし、その成功の裏側で、今日の構造転換を阻み、政治の硬直や経済停滞を招く病巣が根を張っていました。国際秩序が揺らぎ、内外からポピュリズムの圧力が高まる今こそ、経済社会の発展の足枷となっている戦後の枠組みを見直す時です。【著:神田玲子】
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2025.07.22デモクラシー
ロシア世論は停戦をどう捉えているか
ロシアがウクライナに侵攻を開始して3年半近くが経ちます。2025年に入り、米国のトランプ大統領の働きかけにより直接交渉が行われているものの、停戦には至っていません。ロシアのプーチン大統領は、「危機の根本的な原因」の除去を主張して譲らず、停戦を阻む一因となっています。ロシア世論は、停戦・和平を求めつつも、戦争の果実に関し譲歩の姿勢を示していません。背景にあるのは、西側への敵意といえます。【著:河本和子】
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社会の中のポテンヒットをなくしていく
為末大 (株)Deportare Partners代表/(一社)アスリートソサイエティ代表
責任の所在が見えにくく、放っておかれている社会課題に対し、自分の責任として行動する人が、今の社会に必要とされています。そしてそういう人を声を上げて応援していくこともまた、社会を支えるうえで重要なのです。
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2025.06.16日本経済と持続可能な成長
生成AIを使った生産性向上には包摂と意識改革を
労働力不足が深刻さを増す中、生成AIは生産性向上の切り札として期待が高まっています。生成AIは業務の代替・補完を通じて労働者の負担を軽減するものの、格差の助長や、女性の雇用不安定化といった懸念も。生成AIの恩恵を広く行き渡らせるには、リスキリング支援やデジタルインフラ整備など包摂的な政策を行うのと同時に、AIと協業する働き方に対する意識改革も求められています。【著:鈴木日菜子】
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2025.06.05日本経済と持続可能な成長
日本の「働き方改革」とテクノロジー活用:他国比較を通じた課題の解明
日本の「働き方改革」を労働時間、雇用構造、テクノロジー活用の3つの側面から他の先進諸国と比較分析します。労働時間の分析では、平均労働時間は減少しましたが、これは短時間労働者の増加によるもので、正規雇用者の労働時間は依然長いです。雇用構造では、非正規雇用が増加し、女性労働者の半数以上が非正規雇用です。さらに、テレワークや生成AIの普及率は他国を下回ります。真の改革実現には社会全体での取り組みが必要です。【著:Jonathan Webb】
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地域社会で頼りあい誰もが活躍できる社会を目指す
甲田恵子 (株)AsMama代表取締役CEO
子育て支援を通し地域コミュニティの活性化を目指す「AsMama」を立ち上げた甲田さん。日常生活の困りごとを地域の顔見知り同士で頼りあえるようなインフラを作り、誰もがいきいきと活躍し続けられる社会にしていくことが大切だと語ります。
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2025.04.25地域経済と市民社会
宇野・赤井・砂原・沼尾(2025)「人口減少時代、国と地方の財政の新たな役割分担とは:財政的責任をあらためて明確化する」を読む
国と自治体の財政責任を明確化するための考え方として「限界的財政責任」というものがあります。限界的財政責任の理念の実行に移すに際しては、(1)国と地方の責任分担の振り分けがどの程度可能か、(2)受益と負担が複数の自治体にわたる公共サービスについてどう考えるか、(3)人々は限界的財政責任の実現を望んでいるか、(4)財政をめぐる意思決定ができる政治的条件が自治体の側に備わっているか、といった論点を提起できます。【著:竹中勇貴】
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2025.03.31デモクラシー
Transforming Deliberative Democracy
:The Impact of Mini Publics本稿は米国出身のインターン生、ジュディス・ベガ・シウラナが、「ミニ・パブリックス(mini publics)」を通じた熟議民主主義の導入とその効果を論じたものです。従来の民主制度において欠如していた市民の熟議参加を補う手法として、ランダムに選ばれた市民による討議型の集会が、ドイツ、フランス、英国で実施されてきました。これらは政策提言を通じて政府との信頼構築や社会的分断の是正を目指す試みです。一方、実際の政策影響は限定的で、デジタル技術の活用もプライバシーや偏見の問題を抱えます。今後の課題は制度化と多様な市民の包摂です。【英語論稿】【著:Judith Vega Siurana】
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「知った責任」を感じる
川口加奈 認定NPO法人Homedoor理事長
川口さんは、中学生の時にホームレス問題を知ったことをきっかけに、生活困窮者への生活・就労支援活動を始めました。社会の課題に対して小さなことでも行動を起こすこと、そしてそういう挑戦を周囲が批判せずに応援することが重要だと語ります。
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2025.03.19デモクラシー
複雑な議論に醍醐味を
複雑で難解な政策や課題を、いかに分かりやすく伝えることができるのでしょうか。2025年2月にNIRA総合研究開発機構が開催したフォーラムでは、そうした問いに対する議論が行われました。コミュニケーションにおける発信者と受け手との信頼関係や情報に対する姿勢などが議論の軸になりましたが、一方で「分かりやすい」ことの危険性も指摘されています。複雑な事柄にどう向き合えばよいのか、その問いについて思考することの醍醐味に触れて考えます。【著:宇田川淑恵】
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2025.02.27地域経済と市民社会
増加する空き家をどう活かすか―コロニーヘーヴに学ぶ
空き家の増加が課題となる中、特に地方では放置が地域衰退を招く恐れがあり、空き家を活用して地域の活性化につなげることが求められます。デンマークの「コロニーヘーヴ」は、都市住民が自然と触れ合うコミュニティガーデンであり、これを参考に空き家を活用した持続可能な地域拠点を整備すれば、都市住民が定期的に訪れ、地方との継続的な関わりが生まれる可能性があります。空き家を「負の資産」ではなく「地域の価値を高める資源」として捉える視点が重要です。【著:羽木千晴】
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地域に新たな波を起こす人を受け入れよ
宇野重規 NIRA総研理事/東京大学社会科学研究所教授
人口が減少する中、地域社会では、昔からの住民だけで地域を支えていくことが難しくなりつつあります。新たな波を起こすような外からの人を歓迎し、信頼関係を作っていくことで、魅力ある地域づくりができるのではないでしょうか。
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