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2023.02.28デモクラシー
政策への国民の理解を得るための情報発信
国民の側には、自分達の声が政策に反映されないという不満がある一方、政府の側にも、自分たちの政策がなぜ、人々に理解されないのかというもどかしさがあります。両者の間に横たわる意識の齟齬を解消するためには、政策の透明性を高める、つまり政策の全体像を国民にわかりやすく伝えることが重要です。それを担うのは、政府、メディアであり、NIRA総研のような中間組織であります。【著:神田玲子】
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2023.01.25日本経済と持続可能な成長
早期事業再生に向けた環境を整備せよ
ゼロゼロ融資は突然発生したパンデミックの緩衝材として大きく機能しました。しかし、依然として経営環境は厳しく、返済が開始すれば中小企業には大きな負担となります。今後、法的倒産の件数も増えていくでしょう。政府は、返済期限を先延ばしにできる制度を作りましたが、延命措置となるばかりで倒産を防ぐ根本的な解決にはなりません。企業を存続させるため、早期事業再生に向けた環境整備を急ぐ必要があります。【著:鈴木壮介】
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2022.12.27科学技術
メタバースの可能性:産官学の連携と持続可能な仕組みを整えた発展を目指せ
VRやARなど、既存のデジタル諸技術の汎用性を高めた「メタバース」が、言葉として世界の流行になっています。しかし、日本国内の社会調査を見ると、メタバースの浸透度は高くありません。様々な分野への応用が期待されるメタバースが発展するためには、産官学の連携と持続可能な仕組みを考慮し、ユーザーのニーズに応えるサービス展開が必要です。【著:大森翔子】
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2022.11.21日本経済と持続可能な成長
社会全体で食料安全保障の確保に取り組め
国内農業の生産基盤が脆弱化し、食料供給力が低下している状況でありながら、日本では年間522万トンの食品が廃棄されています。こうした現状で、有事の際に、国民に対して安定的に食料を供給できるのでしょうか。政府は、カロリーベースの食料自給率を令和12年度までに45%に高める目標を掲げており、国内における食料供給力の向上と食品ロスの削減に向けて、社会全体で取り組むことが求められます。【著:羽木千晴】
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2022.10.31日本経済と持続可能な成長
再エネ推進の課題を誰もが自分事とするために
脱炭素社会の実現には、不断の取り組みが必要です。短期的な利益にとらわれず、環境問題のような長期の課題に人々の目を振り向けるには、どういった方策が有効でしょうか。一例として、地域レベルで自治体と住民・企業が主体となって再生可能エネルギー発電所開発を推進するコミュニティー・チョイス・アグリゲーション(CCA)の仕組みを紹介します。社会の課題に対する市民の向き合い方を考える一助となるでしょう。【著:関島梢恵】
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2022.09.29地域経済と市民社会
エビデンスの質を高めて、EBPMに実効性を持たせる
2017年、EBPM(Evidence-based Policy making:証拠に基づく政策立案)の推進が閣議決定され、その取り組みが進んでいます。政策形成の現場でEBPMに実効性を持たせるには、因果関係を検証したエビデンスの蓄積が求められます。EBPMに沿った思考方法を根付かせ、官民学の様々な主体によるエビデンスの創出が急務です。【著:井上敦】
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2022.08.31日本経済と持続可能な成長
即時的な出生数の増加よりも、人々の能力を生かせる社会を目指せ
これからの日本の少子化対策は、出生数の増加を即時的に求めるのではなく、人々の能力を活かせる社会を目指し、検討されるべきです。そのためには、人々が自ら望む選択ができる環境があることが重要です。しかし、現状は、女性が活躍する上で、仕事と家庭の両立に大きな課題を抱えるなど、すべての人に多様な選択肢が提供されているとは言い難い状況です。自己実現の観点からも、多様な選択肢が用意されるべきであり、そうした環境の中で、結婚や出産が検討されることが望まれます。【著:北島あゆみ】
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2022.07.19地域経済と市民社会
歴史の転換点にある今こそ、複眼的な教育を
気候変動やパンデミックなど、地球規模の課題が山積している中、「国際理解」の授業を実施する小学校の数が、近年、顕著に減っており、懸念されます。地球規模の課題では、自国目線の利益と地球規模目線の利益が必ずしも一致しないことが多いです。歴史の転換点を迎えている今こそ、国際理解教育は、ますます重要になると考えます。内向きの近視眼的な思考に陥ることなく、複眼的な思考を重ねる教育が必要です。【著:榊麻衣子】