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2023.08.21デモクラシー
「不在者」の声を想像し、社会の形を描き直す
近年、若者の投票率の低さや政治への無関心な態度が問題視されています。そして、投票しないことで、政治や現状への不満がないと解釈されることも多くあります。しかし、彼らは本当に政治に関心がなく、現状に満足しているのでしょうか。投票をしない若者の背景を探り、彼らの意向を把握することは、進行する若年層の政治離れを食い止める大きな鍵となるでしょう。社会の一員である「不在者」の実情を理解し、視座を高め、社会を描き直すことが今必要だと考えます。【著:宇田川淑恵】
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2023.07.25日本経済と持続可能な成長
起業家精神を培う環境と社会の構築
近年、東京のスタートアップ・エコシステムの順位は下降傾向にあります。その一因は、日本全体で、起業マインドを持った人材が不足していることです。この課題に対処するためには、学校での起業家教育を年代に応じた方法で充実させる必要があります。また、子どもたちが、ミスや失敗に対してプレッシャーを感じずに発言や挑戦ができる環境を整えることも重要となります。【著:羽木千晴】
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社会の中のポテンヒットをなくしていく
為末大 (株)Deportare Partners代表/(一社)アスリートソサイエティ代表
責任の所在が見えにくく、放っておかれている社会課題に対し、自分の責任として行動する人が、今の社会に必要とされています。そしてそういう人を声を上げて応援していくこともまた、社会を支えるうえで重要なのです。
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2023.06.30デモクラシー
社会課題に対する共通認識を育てる
子育て支援や少子化対策は、当事者意識を持ちにくい政策課題だと言われています。国民の合意を形成するためには、議論を行ううえで前提となる「共通認識」を醸成する必要があります。その方策の1つがデータによる可視化です。とりわけ重要なのは、人びとが解釈できる形でデータを提示する工夫です。自分と異なる立場や世代の他者への共感を呼び、課題解決への議論に巻き込めるか―このような視点が政策形成で果たす役割は大きいと考えます。【著:関島梢恵】
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2023.05.31デモクラシー
ダウンサイジングの時代を熟議で歩む
急速な人口減少により、日本は今、ダウンサイジングの中にあります。人々が納得感を得られる合意形成を進めるには、「熟議民主主義」、すなわち話し合い中心の民主主義を根付かせる必要があります。そのためには、人々が気軽に熟議に参加できる環境をつくるとともに、人々が政策執行の責任の一端を担えるようにすることで、当事者意識を高めていくことが重要です。【著:井上敦】
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2023.04.27デモクラシー
敵味方の構造の外から自己批判を繰り返す
ロシアのウクライナ侵攻から1年以上が経つ今、この紛争への関心を風化させずに、今後の動向を注視するべきです。そのためには積極的な情報収集が欠かせません。しかし、戦争下では、敵か味方かという二項対立が生じ、そうした構造の中では、フェイクニュースの拡散だけでなく、それを取り上げるメディアの情報も偏りやすい状況です。偏った情報に流されないようにするために、幅広く情報を収集しながら、常に自分の考えや解釈の自己批判を行なうことが重要です。【著:北島あゆみ】
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2023.03.29地域経済と市民社会
人口減少期の日本、「幸福」は何か、考えていきたい
今後数十年続く「人口減少期」、社会の閉塞感が危惧されています。高度成長期の価値観にとらわれない、新しい幸福のあり方を描き出す必要があります。「世界幸福度調査」は、他国に比して、今の日本に足りない「幸福」は何かをあぶりだします。自らの意志で社会とつながり、利他の気持ちを具体的に示す習慣、そして、自分で人生を選ぶ自由です。政府には、そのための基盤を整備する役割が求められています。【著:榊麻衣子】
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2023.02.28デモクラシー
政策への国民の理解を得るための情報発信
国民の側には、自分達の声が政策に反映されないという不満がある一方、政府の側にも、自分たちの政策がなぜ、人々に理解されないのかというもどかしさがあります。両者の間に横たわる意識の齟齬を解消するためには、政策の透明性を高める、つまり政策の全体像を国民にわかりやすく伝えることが重要です。それを担うのは、政府、メディアであり、NIRA総研のような中間組織であります。【著:神田玲子】
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2023.01.25日本経済と持続可能な成長
早期事業再生に向けた環境を整備せよ
ゼロゼロ融資は突然発生したパンデミックの緩衝材として大きく機能しました。しかし、依然として経営環境は厳しく、返済が開始すれば中小企業には大きな負担となります。今後、法的倒産の件数も増えていくでしょう。政府は、返済期限を先延ばしにできる制度を作りましたが、延命措置となるばかりで倒産を防ぐ根本的な解決にはなりません。企業を存続させるため、早期事業再生に向けた環境整備を急ぐ必要があります。【著:鈴木壮介】