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2025.10.30日本経済と持続可能な成長
キャリアと家庭、両立可能性を高める改革を
この半世紀、女性の教育水準と労働への参画は目覚ましく進展し、働き方や家族の姿を大きく変えてきました。それでも課題は多いです。男女賃金格差は依然として大きく、出生率は低位にとどまり、政府は実効性ある少子化対策の設計に苦慮しています。キャリアと家庭の両立志向が広がるいま、育児とキャリア形成を同一人が同時期に担うことを前提に、両立可能性を軸に政策・制度・職場慣行を見直し、少子高齢社会にふさわしい社会規範を形成する必要があります。【著:井上敦】
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2025.09.22地域経済と市民社会
コロナ禍を経て、義務教育の疲弊が進んでいるのではないか
コロナ禍を経て、児童生徒の不登校が急増しています。また、国の経年調査における最新の調査結果で、学力平均スコアの低下が分かりました。学力調査では、特に低SES層といわれる家庭環境に恵まれない子どものスコアの低下幅が大きく、懸念されます。加えて、教員の精神疾患による休職も急増しています。義務教育の現場が抱えてきたさまざまな問題が急速に深刻化している可能性があります。これらの兆候を看過せず、義務教育の刷新に向けて正面から向き合うべき時と考えます。対策に後れを取ることがあってはならないでしょう。【著:榊麻衣子】
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いま、責任ある行動とは何かを考える―ヨーロッパと日本の視点から―
NIRA総研
2025年4月26日に開催された国際コンファレンスでは、民主主義の揺らぎを背景に、責任ある行動や国際秩序における責任の枠組みについて議論されました。
【関連資料】いま、責任ある行動とは何かを考える―ヨーロッパと日本の視点から3時間17分18秒
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2025.08.22日本経済と持続可能な成長
戦後の成功と病理 構造転換の時は今
戦後80年。日本は平和国家としての地位と経済大国としての繁栄を築きました。しかし、その成功の裏側で、今日の構造転換を阻み、政治の硬直や経済停滞を招く病巣が根を張っていました。国際秩序が揺らぎ、内外からポピュリズムの圧力が高まる今こそ、経済社会の発展の足枷となっている戦後の枠組みを見直す時です。【著:神田玲子】
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2025.07.22デモクラシー
ロシア世論は停戦をどう捉えているか
ロシアがウクライナに侵攻を開始して3年半近くが経ちます。2025年に入り、米国のトランプ大統領の働きかけにより直接交渉が行われているものの、停戦には至っていません。ロシアのプーチン大統領は、「危機の根本的な原因」の除去を主張して譲らず、停戦を阻む一因となっています。ロシア世論は、停戦・和平を求めつつも、戦争の果実に関し譲歩の姿勢を示していません。背景にあるのは、西側への敵意といえます。【著:河本和子】
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伝わる政策、信頼できる政府をつくる(NIRAフォーラム2025・ハイライト版)
NIRA総研
2025年2月1日に開催したNIRAフォーラム2025のハイライト版です。
【関連資料】NIRAオピニオンペーパーNo.841分40秒
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2025.06.16日本経済と持続可能な成長
生成AIを使った生産性向上には包摂と意識改革を
労働力不足が深刻さを増す中、生成AIは生産性向上の切り札として期待が高まっています。生成AIは業務の代替・補完を通じて労働者の負担を軽減するものの、格差の助長や、女性の雇用不安定化といった懸念も。生成AIの恩恵を広く行き渡らせるには、リスキリング支援やデジタルインフラ整備など包摂的な政策を行うのと同時に、AIと協業する働き方に対する意識改革も求められています。【著:鈴木日菜子】
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2025.06.05日本経済と持続可能な成長
日本の「働き方改革」とテクノロジー活用:他国比較を通じた課題の解明
日本の「働き方改革」を労働時間、雇用構造、テクノロジー活用の3つの側面から他の先進諸国と比較分析します。労働時間の分析では、平均労働時間は減少しましたが、これは短時間労働者の増加によるもので、正規雇用者の労働時間は依然長いです。雇用構造では、非正規雇用が増加し、女性労働者の半数以上が非正規雇用です。さらに、テレワークや生成AIの普及率は他国を下回ります。真の改革実現には社会全体での取り組みが必要です。【著:Jonathan Webb】
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伝わる政策、信頼できる政府をつくる(NIRAフォーラム2025)
NIRA総研
2025年2月1日開催のNIRAフォーラム2025では、政府のメッセージの伝え方や政治への信頼を高める方法について議論された様子が紹介されています。
【関連資料】NIRAオピニオンペーパーNo.84
1時間30分55秒
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2025.04.25地域経済と市民社会
宇野・赤井・砂原・沼尾(2025)「人口減少時代、国と地方の財政の新たな役割分担とは:財政的責任をあらためて明確化する」を読む
国と自治体の財政責任を明確化するための考え方として「限界的財政責任」というものがあります。限界的財政責任の理念の実行に移すに際しては、(1)国と地方の責任分担の振り分けがどの程度可能か、(2)受益と負担が複数の自治体にわたる公共サービスについてどう考えるか、(3)人々は限界的財政責任の実現を望んでいるか、(4)財政をめぐる意思決定ができる政治的条件が自治体の側に備わっているか、といった論点を提起できます。【著:竹中勇貴】
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2025.03.31デモクラシー
Transforming Deliberative Democracy
:The Impact of Mini Publics本稿は米国出身のインターン生、ジュディス・ベガ・シウラナが、「ミニ・パブリックス(mini publics)」を通じた熟議民主主義の導入とその効果を論じたものです。従来の民主制度において欠如していた市民の熟議参加を補う手法として、ランダムに選ばれた市民による討議型の集会が、ドイツ、フランス、英国で実施されてきました。これらは政策提言を通じて政府との信頼構築や社会的分断の是正を目指す試みです。一方、実際の政策影響は限定的で、デジタル技術の活用もプライバシーや偏見の問題を抱えます。今後の課題は制度化と多様な市民の包摂です。【英語論稿】【著:Judith Vega Siurana】
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活力ある雇用社会のビジョン―「失業なき労働移動」をめざして―
NIRA総研
国内外の事例を参考に、教育や職業斡旋、地域政策を通じて日本の労働移動促進の仕組みを多角的に討論した様子をダイジェストで紹介しています。
【関連資料】NIRAオピニオンペーパーNo.7011分43秒