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【アンケート調査】
NIRA総研 中核層調査

Update:2017.10.01

現在われわれは、所得格差の拡大や社会意識の分断など、さまざまな課題に直面しています。このような社会の課題を解決するためには、自らの生き方を主体的に選択し、かつ積極的に社会に関わっていくという意識をもつ人々-私たちはそうした人々を中核層と呼んでいます-が活躍できるようにすることが重要です。中核層に活躍の場がもっと与えられれば、社会の在り方も大きく変わるはずだと感じています。社会の分断も和らぐのではないでしょうか。私たちは、中核層が社会のどこにどの程度存在するのかを調べるために、人々の意識に着目したアンケート調査を行いました。
                                      【ナビゲーター:川本茉莉】

中核層とは

中核層は、以下の2つが両方とも当てはまる人と整理した。
 1. 自らの生き方を主体的に選択している。
 2. 積極的に社会を支えようとする自負と責任感を持っている。

これまで日本社会の中心を支えてきた「中間層」は、文字通り「中間(middle)」であり、「上」でもなければ「下」でもないという消極的な定義に基づくものであった。これに対し、「中核層」とは、上下の階層や所属する組織を問わず、自らの生き方を主体的に選択した上で、社会の在り方を考えようとする人、さらに進んで積極的に社会を支えようとする自負と責任感を持った人のことを指す。

他方で、「中核層」はエリートとも区別される。エリートの中にも、それ以外の人々の中にも存在し、いわば2つの層に共通した軸になり、彼らをつなぐ役割を果たしうる人々である。

中核層はどこにどれくらいいる?

エリート層にもエリート層以外の人々の中にも存在

これまでは、いわゆるエリート層が政策決定を主導してきたが、所得拡散拡大、中間層の不安定化などから社会が分断し、エリート層への不信が高まりつつある。そのような状況において、政策の決定をエリート層に任せるのではなく、自分自身の問題としてとらえ、積極的に社会を支えようとする中核層に、日本社会の将来を担うことが期待される。

NIRA総研は、2016年6月と2017年9月にインターネット調査を実施し、中核層がどれくらい存在し、どのような特徴を持っているのかを調べた。本調査において、以下の2つを質問した。

Q1. 「人生で難しい問題に直面しても、自分なりに積極的に解決していく。」
Q2. 「社会をよりよくするため、私は社会における問題に関与したい。」
→ 両方の質問に「よくあてはまる」または「あてはまる」と回答した人が中核層

また、エリート層については、エデルマン・トラストバロメーターの「知識層」の定義を参考に、以下の4つの条件について当てはまる人とした。

1. 年齢:20~69歳
2. 学歴:大学卒業以上
3. 世帯年収:各年代の上位25%
4. 情報関心:「ビジネス・経済」「政策」「政治」いずれかについて「ほぼ毎日」または「週2・3回程度」の頻度で情報を得ている

その結果、中核層は全体の約25%の割合で存在することが分かった。一方、エリート層は約18%である。また、中核層は、エリートといわれる人だけではなく、また、エリート以外の人々の中にも存在することが判明した。いわば、2つの層に共通した軸になりうる人々である。中核層には、社会の分断に歯止めをかけ、社会の変革をリードしていくことが期待されるだろう。



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中核層と他の層で年齢差はない

中核層と一般層、エリート層の年齢構成比に大きな差は見られない。エリート層の年齢構成を一般層と比較すると、40代がやや少ない。

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中核層は一般層よりも学歴は高めだが満遍なく分布

エリート層は大卒以上と定義している。中核層は一般層に比べて学歴が高めではあるが、すべての学歴に一定程度は存在している。

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中核層と一般層の世帯年収の分布は類似

中核層は一般層より世帯年収がやや高めだが、ほぼ類似した分布となっている。エリート層は、定義により年収が高い層に限られる。

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中核層と一般層の階層意識の分布は類似

中核層は一般層よりも階層意識がやや高めだが、ほぼ類似した分布。エリート層は他の層より階層意識が高いが、中の下、下をあわせて 20% 程度存在している。

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中核層は地域への信頼が高め

地域のコミュニティへの信頼は、中核層は一般層よりもやや高めに分布している。中核層とエリート層の間の差はほとんどない。

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中核層への期待

過去の成功モデルから脱却し、新しい社会を作るべき時期にある
日本社会はいまだに経済成長期に形成された社会や組織のモデルにとらわれている。成長期を終えて縮小する時代に入っているにもかかわらず、その社会変化に十分対応できていない。まだまだ過去の遺産があるかのように思われているかもしれないが、それはいわば幻想である。過去の成功モデルから脱却し、自分たちで新しい社会を作るべき時期にさしかかっている。そしてその担い手となるのが中核層である。

社会のどこにも存在する。エリートと大衆の二つのグループをつなげる層
これまで社会の制度を作ってきたエリートが一部の限られた人々であったのに対し、中核層は社会の様々なところに存在していることが調査結果よりわかった。社会に広く存在しているため、中核層を中心として一体感を得やすく、また考え方が限定的なく多様であることが想定される。

方向性が定まらない時代に進むべき道を模索する
さらに、かつて日本社会の中心を支えてきた中間層と比較し、中核層はポジティブな考え方を持っており、知的好奇心が高く、社会的活動にも積極的に参加していることがわかった。社会の向くべき方向が定まっていない中、新しく社会を作り替えていくためには、ポジティブで積極性のある中核層が必要となってくるだろう。

研究体制

谷口 将紀  東京大学大学院法学政治学研究科教授/NIRA総研理事
宇野 重規  東京大学社会科学研究所教授/NIRA総研理事
柳川 範之  東京大学大学院経済学研究科教授/NIRA総研理事
牛尾 治朗  NIRA総研会長
神田 玲子  NIRA総研理事・研究調査部長
尾崎 大輔  NIRA総研 研究コーディネーター・研究員
川本 茉莉  NIRA総研 研究コーディネーター・研究員

調査概要

<第1回>
調査方法:インターネットを通じてアンケートに回答
対象:日本国内在住の18歳〜69歳の一般男女個人 (年齢・性別によるクオータ・サンプリング)
調査期間:2016年6月30日〜7月6日
有効回答数:2762
http://www.nira.or.jp/pdf/20161025_Chukaku_q.pdf 

<第2回>
調査方法:インターネットを通じてアンケートに回答
対象:日本国内在住の20歳〜69歳の一般男女個人 (年齢・性別構成に合わせ、ウエイト補正実施)
調査期間:2017年9月19日〜22日
有効回答数:5420
http://www.nira.or.jp/pdf/20171013_Chukaku_q_NIRA.pdf

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